#contents ※version112.3-11.35時点での情報です。バージョンアップによる機能追加が激しいのでinternational forumを参照されることをオススメします。(英語ですが・・・) *概要 [#yfd73883] simutrans experimentalは既存のsimutransの拡張版と言うべきものです。議論の主戦場となっているinternational forumでは既存のsimutransとstandard⇔experimentalで区別しているので、ここでも既存のsimutransを&color(#0000ff){standard};、simutrans experimentalを&color(#ff0000){experimental};と書くことにします。 experimentalはstandardからかなり拡張されているため、standardの機能・プレイスタイルを知り尽くした上級者向けsimutransの性格が強いです。ダイヤ機能、適切なルート検索、自家用車の存在、カーブでのよりリアルな減速など、「かゆいところに手が届く」仕様となっています。 *インストール方法 [#p7877b22] [[version112.3-11.35のリリースページ(DLページ)はこちらです。>http://forum.simutrans.com/index.php?topic=13772.0]] **全プラットフォーム共通 [#va510969] experimentalでは -プログラム本体のバイナリ -設定ファイル群 -pak の3つが必要です。standardでは上2つが最初から同梱されていますが、experimentalでは分離されているので注意しましょう。バイナリはOSごとに異なるものが必要ですが、設定ファイル群とpakは共通です。 設定ファイルはexperimentalのリリースページからダウンロードできます。(Configuration filesと書かれているものです。) experimentalではstandard用のpakセットも問題なく使うことができますが、experimentalの一部の機能を使うためにはexperimental用のpakセットが必要です。現在確認している限りではexperimental用pakセットとして -Pak128.Britain-Ex -pak64.Exp -Pak.german-exp -Pak64.19th Century.Experimental があります。特にstandard用pak128に対応するpakがexperimental用の存在しないので、pak128がお好きな方ははじめはstandard用のpak128をそのまま使ってみるのもアリでしょう。 以下、プログラム本体のバイナリの準備の仕方を解説します。 **Windows [#p0a209ac] Windowsの場合はexperimentalのリリースと同時にたいていwindows用のバイナリがリリースされるので、リリースページからWindows binariesをDLしてpakとConfiguration filesをつっこめばプレイできます。 **Mac [#f52ab3d1] 一部のバージョンについては有志でバイナリを作ってくれる人がいるみたいですが、基本的にMac用バイナリは存在しないので&color(#990000){自分でコンパイルする必要があります。};大丈夫です。コンパイルの仕方はstandardよりむしろ簡単です。 以下、コンパイルのしかた +(まだしてない場合)Xcodeをインストールする。(gccが必要なためです。Mac App Storeから無料でDLできます。すっごく容量を喰いますがこれをやらないと先にすすめません。) +(まだしてない場合)MacPorts(https://www.macports.org/)をインストールする(このソフトウェアはこの先で使うプログラムをインストールするのに使います) +(まだしてない場合)MacPortsを使ってlibsdlをインストールする。具体的にはターミナルで 「sudo port install libsdl」 と入力。インストール時にはシステムのパスワードを求められます。(libsdl2をインストールしてもうまくいきません。) インストールが終わったら 「port installed」 でMacportsでインストールされたソフトウェア一覧が出てくるのでその中にインストールしたものが入っているか確認するといいと思います。 +experimentalのソースコードをDLする。GitHubからDLできます。[[ここ>https://github.com/jamespetts/simutrans-experimental]]の「Download ZIP」ボタンを押すとDLできます。DLしたファイルは展開してお好きなところに置いてください +ソースフォルダの中の「config.template」の拡張子を「.default」に変更して、miなどのテキストエディタで開く。その中で 「#BACKEND = sdl」 「#COLOUR_DEPTH = 16」 「#OSTYPE = mac」 「#DEBUG = 3」 「#OPTIMISE = 1」 「#FLAGS = -DUSE_C」 の行の先頭の"#"を外す 例えば「#BACKEND = sdl」の行なら「BACKEND = sdl」となります。 &color(#777777){(本当はDEBUGとOPTIMISEは両立しなかったりといろいろ問題はあるのですが、とりあえず動作はするのでここはこれで放置しておきますです。)}; +ソースフォルダの中の「freight_list_sorter.cc」をmiなどのテキストエディタで開く。その中で 「#include "malloc.h"」を「#include "stdlib.h"」に変更する。(コードの比較的冒頭のあたりにあります。) +cdコマンドでsimutransのソースフォルダのディレクトリに移動して、ターミナルで 「make」 と入力して実行 これでソースフォルダ中の/build/defaultにsimtrans-experimentalという名前で実行ファイルが生成されるはずです。あとは実行ファイルだけ取り出して、pak、Configuration filesと一緒のフォルダにつっこめば動作します。 **Linux [#s8adfc81] 現状Linuxバージョンもバイナリが配布されていませんので自分でコンパイルする必要があります。DLの仕方はMacの項で説明したとおりです。 このページを書いてる人の手元にlinuxの環境がないので、有志の方、詳しく追記をお願いします。 *既存のsimutransとの差異 [#t3811739] 「experimentalはstandardとココが違う!」所を説明します。 ※internationalフォーラムの[[「Overview of Simutrans-Experimental features」>http://forum.simutrans.com/index.php?topic=1959.0]]を日本語に要約しただけのものです。詳しく知りたい方はinternational forumへどうぞ。 **ダイヤ機能 [#n5446be3] **金融・経済の部 [#d420269f] :収入の計算| standardでは積荷の種類(ここでは旅客も積荷として扱います)、輸送量、及びスピードボーナス等から収入が計算されます。experimentalではさらに、旅客の場合のみ「快適性」が考慮されます。長距離の移動になるほどスピードの影響が大きくなります。定員オーバーの駅を経由すると旅客の場合は収入が下がります。要は短距離の移動に超高速な移動手段を提供してもあまり収入は増えませんよということです。(standardでは距離に関係なくスピードボーナスが加算されますね。) :借金について| standardでは総資産が負にならない限りいくらでも借金できます。 experimentalでは借り入れの限度額が設定されていて、この限度額を超えると車両を買ったり交通インフラを建設したりといったことができなくなります。但し運行に必要な維持費、運行費は払うことができます。また、負債には月10%の利子がつきます。また、破産しないというオプションも用意されています。 借入限度額はそれまでの収益性から自動的に設定されます。(公共事業には借入限度額はありません。)また「破産ライン」も自動的に設定されます。これらはsimuconf.tabで調整できます。 :産業について| standardでは産業施設は一度建設されると基本的にずっと操業できます。 experimentalでは産業施設に「引退年」が設定されていて、引退年の30年以内に自動的に操業不能になります(いつ操業不能になるかはランダム)。閉鎖された産業施設の関連産業施設(原料の供給元、生産物の供給先)は他の有効な産業施設に供給元、供給先を切り替えますが、それができない場合は関連産業施設も閉鎖されます。これらはプレイヤーに通知されます。産業施設を更新することもできます(experimental用pakセットが必要)。なお産業施設全体の数/総人口 の値が規定値を下回ると新たな産業施設が建設されます。 :旅客流動について| standardでは年代ごとに近距離・遠距離のバランスが指定できます。 experimentalでは基本的に近距離流動が多くなります。また、経路なしの旅客の多くは別の行き先を探します。このためまだ接続されてない都市が残っている初期段階でも比較的多めに旅客が発生するようになります。simuconf.tabでだいたい決められるようです。 :旅行時間の制限| standardではどれだけ時間がかかろうが旅客は目的地へ向かおうとしますが、experimentalでは「旅行時間制限」が存在します。旅行時間制限は"旅客が目指す目的地への距離"と"simuconf.tabで定義されたランダム度"を考慮の上ランダムに決められます。停車場のグラフに「too slow」という項目があり、これが旅行時間制限に見合わなかった旅客の数です。 :乗り換え時間と徒歩移動| standardでは駅の集客範囲内の旅客がその駅を利用します。旅客発生元と目的地が同じ駅の集客範囲に含まれる場合は"walked"と扱われます。 experimentalでは旅行時間に徒歩移動の時間が含まれます。旅客の徒歩移動の場合は5km/h、貨物の人力移動の場合は1km/h扱いです。(これらの値はsimuconf.tabで変更できます。)旅行時間が「旅行時間制限」の半分以下、かつ徒歩が最も速い手段の場合は旅客は必ず歩いて目的地へ向かいます。それ以外の場合はプレイヤーの交通を利用します。 また、駅で乗り換えをするときも駅の大きさに応じて乗り換え時間が旅客時間に加算されます(駅の中を徒歩移動扱いです)。 この機能(?)は集客範囲が8〜12といった広範囲の場合に大きく影響します。また、experimentalでは旅客と貨物で異なる集客範囲を設定できます。 :自家用車| experimentalでは常に自家用車で目的地へ移動する旅客がprivatecar.tabに従って一定割合存在します。この割合は一般的に時代が進むほど増えます。また、自家用車で移動できるけどプレイヤーの交通機関とどっちがいいか選択する旅客も存在します。自家用車での移動は市内の「渋滞」を引き起こします。市内の渋滞度が上昇するほど自家用車による旅行時間は長くなり、結果としてプレイヤーの交通機関を選択する割合が大きくなります。しかし渋滞度がグラフで100を超えるとその都市の発展が完全に止まります。よってプレイヤーは道路網を充実させたり交通機関を充実させたりして渋滞をある程度おさえねばなりません。 なおプレイヤーの私道への自家用車の乗り入れを禁止することもできます。(アクセス権) :古くなった乗り物の維持費| standardで年代設定アリの場合引退年を過ぎるとその車両の新造ができなくなりますが、既に走っている編成については影響ありません。 experimentalでは新造ができなくなった数年後に編成自体が"obsolete"扱いされ、徐々に維持コストがかさむようになります。40年ほどかけて最終的にデフォの400%までになります。simuconf.tabで調節ができます。 :固定維持費| standardでは編成(乗り物)の費用は移動距離に応じて発生します。動かなければ費用は発生しません。 experimentalでは固定の維持費、すなはち何もしなくても自動的に発生する維持費が設定できます。(experimental用のpakセットが必要)なお車庫に留置すると維持費が安くなります。 :距離スケール| standardでは1タイル=1キロです。 experimentalでは **制御の部 [#kb85d5ff] **その他の部 [#td9ca6ff] :収入配分| simutransでは他のプレイヤーが自社の線路等を通行した場合に「通行料」を徴収することができます。standardでは一律の値として、編成の運転コストに対する割合と軌道の維持費に対する割合で設定できますが、experimentalではコレに加えてそもそも編成の収入の何%を通行料として徴収するか決めることができます。 :アクセス権| standardでは駅や線路を違うプレイヤーと原則接続できませんが、公共事業を使えば接続できます。公共駅の維持費などは公共事業が払い、公共化した部分は公共事業でしか編集できません。 experimentalでは他のプレイヤーに自社の線路へのアクセス権を付与することができます。たとえ線路が接続されていてもアクセス権がなければ車両を乗り入れさせることはできません。 :プレイヤーカラー| experimentalではプレイヤーカラーを変更すると全てのプレイヤーカラー使用部分に反映されます。 :自動編成置き換え| standardでは編成を置き換えるとき、該当編成を手動で車庫に送り編集する必要があります。 experimentalでは車庫送りすることなく自動的に置き換えることができます。 :編成の更新| standardでは編成をアップグレードすることはできません。 experimentalでは新造より安く、アップグレードにより車種を作ることができます。アップグレードできる車種は限られ、experimental用のpakセットが必要です。 :都市への電力供給| experimentalでは市域内に一つ変電所を建設し、送電線を接続すれば市域内にある全ての産業施設へ電力が供給されます。(standardでは電力を供給したい全ての産業施設に変電所を横付けする必要があります。)また、都市自体も電力を消費し、必要電力量を上回る電力が供給されたときは都市がより早く発展します。 :都市の立地| 新しいマップを作るときexperimentalではstandardでの設定に加えて、大都市の数、塊の中の都市の数(これについてはあまりよくわからないのでわかる方、加筆・訂正お願いします)が設定でき、都市が海や河川の近く、より高度が低い場所に立地しやすくなります。また、川が高地まで伸びやすくなります。 また、都市のサイズはstandardでは中央値の設定に従ってランダムになりますが、experimentalでは「ジップの法則(ジフの法則)」なるものに従って決められるそうです。 :塗装| standardではある車種の表示は満載時・空載時の2つしか設定できません。例えば103系の黄色と103系のオレンジは別車種として扱われます。 experimentalでは1つの車種が複数の塗装パターンを持つことができます。例えばクリーム色の117系が京阪神で役目を終えたので末期色に塗装を変更した後廣嶋送りにするということが、編成を買いなおさなくてもできるようになります。(experimental用のpakセットが必要です。) :橋と高架| standardでは橋は長さの制限はあれど高さの制限がありません。このため広い海をブチ抜くということができてしまいます。また、建物の上に高架を建設した場合後々その建物が成長して高架を突き抜けるといったことが発生します。 experimentalでは橋は海の深い部分を通過できません(長さが制限されてないものに限る)。また、高架の下の建物が成長して高架を突き抜けることもありません。 :土地の造成| standardではなんもない海のど真ん中に土地を造成することができますが、experimentalでは海の深いところ(深度2以上)に新たな土地を造成することができなくなります。 :市道| standardではプレイヤーが市道を自由に消去できます。また市内にプレイヤーに所有権がある道路を建設することもできます。また、市道の最高速度は50km/hであり、変更できません。 experimentalでは建物を都市から孤立させてしまうような市道の消去ができなくなります。また、市域内に建設した道路(橋や高架を含むかは定かではありません)は即時に都市によって接収され、維持費は都市によって支払われます。よって他のプレイヤーも自由に通行することができ、制限速度はプレイヤーが建設した道路の制限速度によります。 :設定の上書き| experimentalではゲームごとに保存されている特定の設定値をゲームを始めた後でも上書きできます。(standardではmenuconf.tabを書き換えることでできます。)simuconf.tabの「progdir_overrides_savegame_settings=1」で、本来ゲームごとに保存されている特定の設定値はゲームの読み込みの時ごとにsimconf.tabに記述されることに置き換えられます。